豪ドル/円相場は、89円水準まで軟化する展開に。中国経済の減速懸念が再び強くなっていることに加えて、オーストラリア準備銀行(RBA)のスティーブンス総裁が追加利下げの可能性に言及したことが嫌気され、昨年12月27日以来の安値を更新している。
株式市場では中国の景気減速懸念を消化しつつあるが、資源国通貨や商品市況からの資金流出傾向には未だ歯止めが掛かっていない。シャドーバンキング(影の銀行)など非公式金融システムに対する規制強化の動きに加えて、過剰生産能力の解消も急ピッチで進める意向が示される中、中国の金融・経済システム改善の動きが資源需要の先行き不透明感を強めている。CRB商品指数は明確なダウントレンドを形成しており、こうした中で敢えて資源国通貨を買い進むような動きは見られない。パニック的な値動きに発展する可能性は低いとみているが、コモディティ市況の急落傾向が継続していることには注意が必要。
一方、RBAのスティーブンス総裁は7月30日に行われた講演で、直近の物価統計からは必要とあれば追加利下げを実施する余地がなお残っているとの見方を示した。今月のRBA理事会議事録ではインフレ懸念から追加利下げにやや慎重な姿勢が見られたが、4~6月期の消費者物価指数(CPI)が前年同期比+2.4%と予想されていた程には伸びなかったこともあり、まだ追加利下げが阻害されるようなインフレ環境にはないとの見方を示した形になる。この発言には明らかに意外感があり、8月6日の次回RBA理事会に向けて、豪ドルの上値は重くならざるを得ない。
今後1週間の予想レンジは、87.00~91.00円。